イムマヌエル綜合伝道団人権委員会 著「聖なる教会を目指して」(いのちのことば社、48ページ)

キリスト教会のハラスメント問題は表面化しにくく、被害者が声を上げた時には傷が深くなっていることが多くあります。

また、「自分こそ霊的である」という指導者のハラスメントは、自覚がない場合も多々あります。

イムマヌエル総合伝道団は早くからハラスメント相談窓口を設置しこの問題に取り組んでおられます。この本は「神の栄光が現わされる聖なる教会が建設されること」を願って広く教会や教派、教団での研修用にパンフレットのように用いられるように出版されました。

巻末にハラスメント想定場面集もあり、セクハラ、モラハラ、個人情報の扱い方なども記されています。ハラスメント入門書や教会の学び会のテキストとしても良書です。

関谷直人 著「教会の羅針盤 メンタルヘルスの視点から」(キリスト新聞社、164ページ)

牧会の現場には、たくさんの困難があります。経済的苦難、オンとオフのない生活、牧師の家族のこと・・・今まで光が当てられなかった場所にメンタルヘルスという側面から考察しています。

教会にはハラスメントが助長される土壌があるのではないかという著者の視点はある意味斬新。

キリスト教界の中に長年男性優位の価値観が根付いていることや、信仰共同体の教職と信徒間にある「権威主義的」力学もハラスメントの土壌を産みやすいと著者は述べています。

教会でよく見受ける会話がハラスメントとして受け取られる危険性がある実例はハッと気づかされます。

マリー=フランス・イルゴイエンヌ著『モラル・ハラスメント―人を傷つけずにはいられない』(紀伊國屋書店、332ページ)

フランスの精神科医による「モラル・ハラスメント」に関する本格的な解説書ですが、多くの実例も紹介されており、理解の助けになります。

まず「モラル・ハラスメントとは何か」について記し、次に「モラル・ハラスメントはどのように行われるのか」その心理的メカニズムを分析し(「権力の濫用」と「心の問題(自己愛性格)」がある)、「モラル・ハラスメントにどう対処すればよいか」被害者へのアドバイスを記しています。

「モラル・ハラスメント」について深く学びたい方に是非お勧めします。

あさみまな著『いつか愛せる―DV共依存からの回復』(朱鳥社、127ページ)

著者は、プロテスタント教会のクリスチャン女性です。

夫からの理不尽な精神的・肉体的暴力を受けて心身ともに疲れ果てていたとき、夫にアルコール依存症やDVの問題があるだけでなく、実は自分自身にも「共依存」の問題があることを知り、勇気をもってその問題に向き合い、夫婦関係が癒され回復されていった体験談です。

自分自身の生き方や人間関係のあり方を見つめ直すためにも助けになる本です。

香山リカ著『知らずに他人を傷つける人たち―モラル・ハラスメントという「大人のいじめ」』(ベスト新書、192ページ)

精神科医・香山リカ氏による「モラル・ハラスメント」解説書です。

豊富な実例とともに、「家庭内モラハラ・チェックリスト」「職場モラハラ・チェックリスト」「モラハラ人間にならないための『言葉と態度』の修正表」等もあり、非常に実際的です。

基礎知識のない方にも理解できるようにわかりやすく書かれていますので、入門書としてお勧めします。